森の掟

J-POPやメタルやフェスや音楽番組なんかの批評(という名の無益な墓掘り行為)

かつて日本人の8割が中国に親近感をもっていた〜中華レトロフューチャーとしての鳥山明とYMO

今からは考えられないかもしれないが、日本人の8割が中国に親近感を持っていた時期があった。 それはどのようにしてはじまり、どのようにしぼんでいったのか。 YMO/ウーロン茶/ドラゴンボール/三国志/西遊記/チャイナ歌謡

吉田拓郎の、矢沢永吉の、佐野元春の何がすごかったのか、後追い世代には少々難しいので『日本ポップス史 1966-2023』を読む

Vaundyからムッシュかまやつまで、時代を彩ったポップスター30人のすごさを、音楽理論や時代の空気や自分史などの観点から多角的に語ったスージー鈴木『日本ポップス史 1966-2023』。その書評と、自分なりに受け取ったバトンの話。

やらされ型とセルフプロデュース型の2系統だった昭和平成のコミックソングの歴史を塗り替えたのは…

日本のポピュラー音楽の歴史を語るうえで欠かせない、コミックソングという存在。 半世紀以上前から現在まで、テレビやラジオやSNSを通じて、またはステージの上から、常に様々なおもしろい楽曲が作られ届けられてきた。 これまでコミックソングを語るにあた…

ヨット・ロックもポスト・パンクも20年以上リバイバルが続いて飽きたので、次のモードとして「御茶ノ水系」をご提案します

2020年代のサウンドの「今っぽさ」は、あいかわらずシティ・ポップ周辺か、またはポスト・パンク周辺を参照元にしているんだけど、実はこのモードも20年ぐらい続いているので、個人的にはもう飽きている。そこで今回は新たなモードとして「御茶ノ水系」をご…

子連れでも見たいもの(おとぼけビ~バ~、キリンジ、エムドゥ・モクター、ヒョゴ & 落日飛車、Vaundy)はだいたい見れたフジロック2025

今年のフジロックは、おとぼけビ~バ~、キリンジ、MDOU MOCTAR(エムドゥ・モクター)、HYUKOH & SUNSET ROLLERCOASTER | AAA、Vaundyを目当てに金曜に参加。すごく久しぶりに子連れで行ってみました。

オジー・オズボーンとブラック・サバスの引退記念『バック・トゥ・ザ・ビギニング』はヘヴィメタル55年史の句読点(だけど終わりじゃない)

1970年にデビューしたブラック・サバスとオジー・オズボーンの引退を記念してヘヴィメタル界の大御所がたくさん集まった『バック・トゥ・ザ・ビギニング』。その見どころとメタルの歴史における意義について。

フィッシュマンズを熱愛する海外の音楽通がなぜキリンジや荒井由実には反応しないのか(お茶漬けスピッツ納豆サザン)

フィッシュマンズをはじめとする何組かの日本のアーティストが海外の音楽通に大人気な一方で、キリンジとか荒井由実とかサザンとか小沢健二のように、日本の音楽通にだけ評価されていて海外にはいまいち刺さっていないアーティストもいる。その差はどこから…

MUSIC AWARDS JAPANにかける音楽業界の意気込みをひしひしと感じつつも気になったこと

先日のMUSIC AWARDS JAPANの授賞式は実に見事で、権威ある音楽賞を日本でも成り立たせたいという音楽業界の意気込みをひしひしと感じた次第。その上で、来年以降に期待することや気になったこと、「ライディーン」に続く大ネタ予想など。

イギー・ポップ来日公演ライブレポート&ファン歴30年の立場から彼のキャリアの歴史的意義や影響力をたっぷり解説

2025年に18年ぶりの来日公演を行ったイギー・ポップについて、ファン歴30年の立場から、半世紀以上にわたるキャリアの歴史的意義や影響力を解説。これから聴き始める人向けのおすすめアルバム5枚も紹介。

音楽業界におけるデータドリブンは30年前にオウム君が消えたときから始まった

世の中どんどんDX化とデータドリブン化が進んでいる。音楽業界も例外ではないんだけど、実は30年以上前から始まっていた。街からオウム君の看板が消えたあの頃から。

音楽の新陳代謝が止まって「ダサい」がなくなったことの功罪

90年代までは、音楽批評においてもミュージシャンの自意識やリスナーの感覚においても、ポピュラー音楽には一定のスパンで新陳代謝が必要で、時代遅れになったものは顧みられることはないっていう感覚があった。 ところが、21世紀に入ってからはというと、特…

B'zダサい論争を読み解いたら紅白に足りなかったものが見えてきた

2024年の紅白歌合戦の最大のサプライズだったB'z。その余波としてSNS上で盛り上がったB'zダサい論争について、90年代の空気感から丁寧に読み解きました。 すると、今年の紅白が地味だと言われた理由がなんとなく見えてきた。

河童じゃない我々は、何者にもなれなくても親にはなれる

サルトルのいう「自由の刑に処されている」人間にとって、子供を持つという判断は、芥川竜之介の『河童』のように子供自身が生まれたいかどうか意思表示もできない以上、結局は親のエゴにしかなり得ない。しかし、エゴで親になることの何が悪いのか。たとえ…

『LL教室のリズム歌謡大百科』をひっさげて、文学フリマ東京39に出店します!

文学フリマ東京39(2024/12/01)で『LL教室のリズム歌謡大百科』をリリースします! 現代のリズム歌謡とでも言うべき音ゲー『ポップンミュージック』シリーズの音楽を手掛けた杉本清隆さんとのトークイベントの文字起こしや、昭和〜平成のリズム歌謡ディスク…

子連れで楽しめるフェス5選

子供ができてからすっかりライブとかから足が遠のいてしまってる大人たちはたくさんいると思いますが、実はフェスまじでオススメ。 ラインナップ的にも30〜40代の音楽好きはむしろメインターゲットだったりするし、この記事を参考にぜひ家族でフェスに!

『AKIRA REMIX』をきっかけに考えたい、芸能山城組による映画『AKIRA』の音楽は何がすごかったのか(そして久保田麻琴リミックスがいかに最高か)

『AKIRA REMIX』リリース記念、あらためて映画『AKIRA』の音楽のすごさと、芸能山城組にオファーした大友克洋のセンスを褒め称えつつ、今回そこにリミックスを施した久保田麻琴がまたすごいっていう話です。

フジロック2024最終日にALI→キム・ゴードン→ターンスタイルを選んで連続正解大満足

フジロック2024の最終日だけ参加しましたが、ターンスタイルとキム・ゴードンとALIが最高でした。 ターンスタイルのファンはなぜコメント欄に年齢を書いてしまうのか。その謎に迫ります。 あと、70歳のキム・ゴードンはオルタナの魂は永遠だってことを教えて…

孤高そうでそんなに孤高じゃないブランキー・ジェット・シティの音楽性を分析してみた

サブスク解禁記念!ブランキーに初めて触れる人や久しぶりに聴く人のためのガイドとして、孤高の存在だと思われがちな彼らの音楽性を分析してみました。意外なアーティストたちと音楽的な異母兄弟だということが判明したのでご紹介。

Apple Musicによる「100 Best Albums」を年代/ジャンル/ジェンダーで分析してみた

Apple Musicによる「100 Best Albums」を分析してみたら、ジャンルの栄枯盛衰やジェンダー比の傾向がくっきり見えてきた。そして多様性と引き換えに割りを食ったジャンルも。最後に、個人的にこれが入ってないのはおかしいベスト3を発表しました。

いまこそ日本のR&Bについて考える〜オルタナティブR&Bの背景など

LL教室が日本のR&Bのこれまでとこれからを語りまくったイベントのご紹介と、イベント内で出しきれなかった個人的なR&B観について。 もとは兄弟のように成立したR&Bとロックだけど、いろんなところが全然違ってておもしろい!って話と、オルタナティブR&Bが盛…

『夢と生きる バンドマンの社会学』を読んで、音楽で食えなかったバンドマン崩れが音楽で食うを考える

『夢と生きる バンドマンの社会学』…。 かつては本気でバンドで食っていくことを目指していたいわゆるバンドマンの成れの果てであるわたくしにとって、気になりすぎるタイトルの本が出た。 人生を賭ける夢に出会えたことの幸福と困難――。いつの時代にも少数…

ハリウッドが本気で描いた『SHOGUN 将軍』を、令和の日本人はどう味わえるのか

ディズニープラスの『SHOGUN 将軍』はめっちゃいい出来でオススメなんだけど、構造的には、異文化を外側から描いた「白人酋長モノ」にならざるを得ない。 とはいえ令和のわれわれ日本人だって、もはや戦国時代を『どうする家康』的な価値観でしか取り扱えな…

ZAZEN BOYS『らんど』を聴きながら、新宿革命記念公園があり得た世界線を妄想してみる

そんな公園は存在しないんだけど、言葉としてあまりにも収まりがよすぎて、一瞬ほんとにあるんじゃないかと思わせてしまう「新宿革命記念公園」。 その確かな手触りは、それがこの世界のすぐとなりに存在するっていう実感からきている気がする。 戦後史の中…

2023年紅白歌合戦の裏テーマと、欠けていた最後のピース

必然性も脈絡もなにもあったもんじゃない、このカオスこそが紅白の醍醐味なんだと思ってるし、そんな紅白が大好き。 そして今年は明確な裏テーマがあったことに気づいてしまった。 ただ、そのテーマにいちばん大切なピースが欠けていたのも事実。

映画『首』を見て、生首に執着するヤバい部族だった武士が美化されていった理由を考えた

戦国武将を、生首に執着するヤバい部族として扱った北野武監督の映画『首』。 北野武監督の作風と戦国時代という舞台の相性がものすごくよかった。 侍ジャパンとか武士道とかいって美化されてるけど、そもそも武士ってどんな存在だったかを、誇張しつつも生…

ビートルズ最後の新曲を可能にした「デミックス」はもっと可能性がありそう

ビートルズ最後の新曲を可能にした「デミックス」という技術について、わかりやすく解説しました。ビートルズ以外の楽曲にもこれからどんどん応用してもらいたいのでとりあえず3アーティスト挙げてます。

ユニコーン『ええ愛のメモリ』はAI使用の模範解答なのでは!?

若い頃の本人の声から生成したAIに歌わせたことで話題のユニコーンの配信限定EP『ええ愛のメモリ』。 若気の至り的な初期の名曲「Maybe Blue」のセルフパロディが最高なんだけど、これって音楽におけるAI使用の模範解答なんじゃないかと考えさせたれた。

「みんなちがって、みんないい」の時代にも『ポップミュージックはリバイバルをくりかえす』のか

『ポップミュージックはリバイバルをくりかえす』を読んで刺激を受けて思い出した個人的なリバイバル体験、そして「みんなちがって、みんないい」の時代にもリバイバルはくりかえされるのかを考えた

フジロック2023の3日目でサハリンと大阪千日前と会津磐梯山と架空の80年代を行ったり来たり

今年もフジロックに3日目のみ行ってまいりました(レポート書き上げるのに1ヶ月かかってしまった) 結論から申し上げると最高でございました。 ベスト5は…民クル、BLACK MIDI、GINGER ROOT、赤犬、OKI DUB

『離婚しようよ』からマジで民主主義を学んだ(あと元ネタをたくさん見つけた)

Netflixの『離婚しようよ』は、宮藤官九郎と大石静のおいしいとこどりでありつつ、最終的に民主主義って何なのかを「赤シャツ」に教えてもらう結果になっててすごい。登場人物たちの元ネタも紹介してます。