森の掟

J-POPやメタルやフェスや音楽番組なんかの批評(という名の無益な墓掘り行為)

音楽

シティポップと百姓

かつて「百姓」という言葉が攻撃力の高い侮辱ワードだった時代があった。 なぜ「百姓」に攻撃力があったのか、なぜその攻撃力が失われたのか、シティポップやJ-POPの移ろいとともに考えてみた。

異世界ファンタジーとしての円高ラテン歌謡【プレイリストあり】

海水浴場も花火大会も海外旅行もない2020年の夏。 夏を満喫しようにもいろいろ禁じられている中で、そのくせ気温ばかりがうなぎのぼりしやがって、40度が突飛な比喩じゃなく現実のデータになっている8月。 それでもつい習慣的に夏向きのプレイリストなんてつ…

かえせ!ブーガルーを

Black Lives Matter運動に便乗して暴れているといわれてる極右グループが、なぜ「ブーガルー」という、黒人やラテン系のカルチャーに由来する言葉を使うのか。腹が立ったので調べてみました。

音楽好きの親にオススメしたい、曲がいいキッズむけ映画×6

一日中ずっと家にいる昨今の子供たち、音楽好きの親としては、どうせなら音楽がいい映画なんかを観といてもらいたい。流れる曲が親も好きな曲だとありがたい。そこで今日はうちの親子ともにハマった、音楽がいいキッズむけ映画をご紹介します。

50年前の日本はヤバかった。サブスクで聴けるGS(グループサウンズ)まとめ【必聴プレイリストあり】

軽薄でがむしゃらで夢見がちで熱いGSのパワーをおすそ分けしたく、AppleMusicとSpotifyの2大サブスクでプレイリストを作ってみました。

バンドブーム期って案外ラテンでアフリカンでトロピカルだったよ【プレイリストあり】

バンドブーム期ってタテノリのパンク一辺倒ではなく、実はラテンでアフリカンでトロピカルな曲が案外多い。 ギター、ベース、ドラム、キーボードっていう基本的なロックバンドの編成でそういったリズムに取り組んでいる曲たちを集めてみたらおもしろいんじゃ…

J-POPが滅んでも演歌は生き残ると思う(演歌の定義・なりたち・未来)

2020年2月22日リリースの都はるみトリビュート・アルバム『都はるみを好きになった人』がとにかくすばらしい。 参加アーティストはUA、畠山美由紀、高橋洋子、水谷千重子&Chage、一青窈、怒髪天、ミッツ・マングローブ、大竹しのぶ、そして民謡クルセイダー…

ミュージシャン/DJ目線で選んだサザンオールスターズ必聴プレイリスト21曲

15枚のアルバムと55枚のシングルが一気にサブスク解禁されて、どこから聴けばよいのやらってなってる若い人は多いと思うので、そういった、ベースやドラムやパーカッションがかっこいい仕事をしてる曲でプレイリストを作ってみました。 「TSUNAMI」や「いと…

『ザ・ダート: モトリー・クルー自伝』にみる「誠実さ」

「もう二度とツアーをやらない」という契約書を爆破する映像が話題となったモトリー・クルー。 来年あたり再結成ツアーをやるらしいですね。 今回の再結成の機運が盛り上がったのは間違いなくネットフリックス限定で公開された『ザ・ダート: モトリー・クル…

小沢健二『So kakkoii 宇宙』はよその子を祝福して北島三郎を更新する

小沢健二の歌ものオリジナルアルバムとしては17年ぶり(!)になる『So kakkoii 宇宙』がリリースされた。 So kakkoii 宇宙 アーティスト: 小沢健二 出版社/メーカー: Universal Music =music= 発売日: 2019/11/13 メディア: CD 1993年のソロデビューアルバ…

1997年の売れたいロックバンドが考えていたこと

批評家の矢野利裕くん、構成作家の森野誠一さんとわたくしハシノの3人でLL教室というユニットを組んでいまして。 90年代のJ-POPについて語るトークイベントを定期的に開催しているのですが、次回は11月10日(日)に1997年を中心に語る回をやります。 そこで…

実はたくさんあったビートルズの日本語カバーBest10+1(全部知ってたらすごい)

// 映画「イエスタデイ」が公開されたり、アルバム『アビイ・ロード』の最新リマスター版がリリースされたりと、久しぶりにビートルズが話題になった2019年秋。 そして来年(2020年)には解散から50年という節目を迎える。 これから世の中にいろんなビートル…

アイドルが結婚しても推せるか問題を上院公聴会のディー・スナイダーとか比叡山の沢田研二とかから考える

最近、現役アイドルが結婚を発表する事例が続いている。 Negiccoもでんぱ組.incもどちらも現役バリバリの人気グループであり、おふたりとも立ち位置は真ん中の重要人物。 アイドルというビジネスモデルは、ファンが抱く疑似恋愛感情のパワーをマネタイズする…

エルトン・ジョン「君の歌は僕の歌(Your Song)」の昭和・平成・令和のカバー10曲を聴き比べてみた!〜映画『ロケットマン』公開記念

エルトン・ジョン本人が監修した伝記映画『ロケットマン』が大ヒットしてますね。 エルトン・ジョンといえば、1970年から現在に至るまで、数々の名曲と数々の奇行でイギリスをはじめ全世界をの注目を集めてきたスーパースター。 この映画『ロケットマン』は…

書評:『80年代音楽解体新書』スージー鈴木

音楽は魔法というより科学に近い 最近読んだ本のなかでかなり刺激を受けたのが、「80年代音楽解体新書」という、音楽評論家のスージー鈴木さんがウェブで連載していたものを一冊にまとめたもの。 80年代音楽解体新書 (フィギュール彩 Ⅱ 1) 作者: スージー…

書評:『メタル脳 天才は残酷な音楽を好む』中野信子

科学ネタとして消費されるヘヴィメタル Twitterとかでよく流れてくる、好きな音楽ジャンルによって性格がわかるとか、音楽を聴かせるとワインがおいしくなったとか、そういうアカデミックな装いをした記事あるでしょ。 だいたいそういう記事においては、メタ…

クルアンビンの分子が分母を凌駕しそうです【フジロック2019レポート】

フジロックに行ってきた 今年も行ってきました。 あの1997年以来、22年連続になります。 (詳しくはこの記事をあとで読んでいただくとして) 今年も最終日だけどうしても行きたくて家族に無理を言って出てきた。 昼から深夜までほぼ休みなく見まくったライブ…

走るひきこもりが日本語カバーに救われた話

ただのバンドマンくずれの会社員であるハシノが、今のような書いたりしゃべったりという活動の場を得たのは、マキタスポーツさんのラジオ番組がきっかけ。 ラジオ日本「ラジオはたらくおじさん」という番組で「カバー曲特集」のオンエア時、リアルタイムでハ…

【大予言シリーズ】椎名林檎が次にコラボするのは誰?

最近、椎名林檎さんがコラボ活動を熱心にやられてますね。 目抜き通り(w/トータス松本) 獣ゆく細道(w/宮本浩次) 駆け落ち者(w/櫻井敦司) すでに発表されているこの3曲に加え、ニューアルバムには向井秀徳とのコラボ曲も入ってるそうな。 毎回「そうき…

書評:「コミックソングがJ-POPを作った 軽薄の音楽史」矢野 利裕

現役の教師にしてDJ、そして文芸批評の論客でもある矢野利裕くんの新刊「コミックソングがJ-POPを作った 軽薄の音楽史」が出ましたね。 矢野くんとは一緒にLL教室という音楽批評ユニットをやっている仲でもありちょっと気恥ずかしいんだけど、できるだけ多く…

リテンションモデル化する音楽業界

今日は本職である会社員の側で得た知見を音楽ブログのほうに持ち込むこころみです。 ちゃんと途中で話がつながってくるので、とりあえず読みすすめてもらいたい。 リテンション・マーケティングとは マーケティングの世界でここ数年流行ってる「リテンション…

愛のままにわがままに僕は平成のJ-POPベスト10枚を選びました後編(2002〜2019)

いよいよ平成も終わりということで、この機会に平成のベスト10枚を選んでいます。 こちらに続き、今回は後編。 あ、どれだけ売れたかとかどれだけシーンへの影響力があったかとか、そういうのは一旦すべて度外視して、個人史的にインパクトがデカかった10枚…

愛のままにわがままに僕は平成のJ-POPベスト10枚を選びました前編(1990〜2001)

先日のLL教室イベントで、メンバーそれぞれの平成J-POPベスト10枚を選ぶという企画をやった。 どれだけ売れたかとかどれだけシーンへの影響力があったかとか、そういうのは一旦すべて度外視して、個人史的にインパクトがデカかった10枚を、できるだけ30年間…

平成のJ-POPを7つの時代に分けてみたらいろいろ見えてきた 〜LL教室の試験に出ないJ-POPイベントふりかえり

先日こういうイベントをやりました。 われわれLL教室が定期的にやってるJ-POPトークイベントの番外編として、平成ぜんぶをひとくくりにして語ってみようという企画。 そりゃまあ、年号の変わり目で何かをひとくくりに語るのは本来ナンセンスな話だし往々にし…

平成元年と平成30年のJ-POP、驚くほど変わってない説

平成もあと3ヶ月でおしまい。 世紀末やいくつかの大災害、生活を一変させるようなテクノロジーの進化もいくつか経験して、30歳以上の日本人は二度目の元号の代り目に立ち会おうとしてる。 この30年で世の中はめっちゃ変わっていて、ざっくり言うと日本は老け…

「温度差の観測」という、あたらしいフェスの楽しみ方

夏フェスのヘッドライナーが発表されはじめ、みんなの気持ちがそわそわしてきた今日このごろ。 今日は「温度差」に着目した新しいフェスの味わい方を紹介しようと思います。 フェスの多様化・大衆化混ぜるな危険!だけど混ざるのも醍醐味! 90年代後半から日…

中途半端な音楽好きがプロフィールに書きがちなあのフレーズがどうにも許せない

自分ではけっこう気が長いほうだと思っていて、あまり何かに対して腹を立てたりすることはないんだけど、どうしても気になってしまう物言いってのはある。 「演歌とヘビメタ以外なんでも聴きます」だと 自称音楽好きな人が、聴く音楽の幅広さをアピールする…

ビーイングのセピア色に覆われた1993年に開学した小沢大学〜LL教室の試験に出ないJ-POPイベントふりかえり

昨日このようなトークイベントをやりました。 「LL教室の試験に出ないJ-POPシリーズ〜1999年編〜」 www.velvetsun.jp 90年代のJ-POPについて1年ごとに区切って深掘りしていこうというこのイベント、これまでに1998年、1999年、1991年、1992年を扱ってきてお…

世代別・元バンドマンの見分け方(年表つき)

あなたのまわりにも昔バンドやってたって人が何人かいると思う。 「あの人むかしバンドやってたらしいよ」などと親戚とか同僚とかで噂されるような。 そう言われてみればそんな雰囲気あるかもって相槌を打ちつつも、自分の同世代の元バンドマンとはなんか人…

Dragon Ash、あゆ、GLAYから読み解く1999年のJ-POPと時代の空気 〜LL教室の試験に出ないJ-POPイベントふりかえり

先日、このようなトークイベントをやりました。 「LL教室の試験に出ないJ-POPシリーズ〜1999年編〜」 www.velvetsun.jp その名の通り、1999年のJ-POPについていろんな角度から語るという趣旨。「試験に出ない」というところには、一般的な語り口ではない、オ…