森の掟

twitter: @guatarro

突然ですがガンズのドラマーの話

ガンズはすごかった

Guns N' Roses(以下ガンズ)というアメリカのハードロックバンドがいる。

パンクロックとグラムロックと王道ハードロックのいいとこ取りをした音楽性と、メンバーのルックスやキャラ立ちがとにかくかっこよく、1987年のデビューアルバムがいきなりビルボードで1位になり世界中でも大ヒットした。

 

https://lastfm-img2.akamaized.net/i/u/770x0/763ffb0fcad04bd2baa70d2a83d3c54d.jpg#763ffb0fcad04bd2baa70d2a83d3c54d

この写真を見てもわかるとおり、男前であるのと同時に、とにかく「悪そう」っていうところが日本でも中高生男子の心を刺激しまくったのだった。

有名人にだっていろんな人に影響を与えており、B'zの短パンとか、WANDSのバンダナや、TOKIO全員のファッションはみんなガンズ憧れ。

 

あと「ファイナルファイト」っていうゲームには、ガンズのメンバーと同じ名前の敵キャラが出てくる。

https://videogameforce.files.wordpress.com/2010/09/axl-slash1.jpg?w=300&h=223

左がアクセルで右がスラッシュ。

 

そして人気絶頂の1992年にはなんと東京ドームで来日公演を3日間やっている。

ロックバンドで東京ドーム3DAYSってちょっとすごくないですか。

 

30代以下の人にはなかなか伝わりづらいかと思うけど、ものすごいカリスマ的なバンドだったのである。

 

 

アクセル・ローズという人

そんなガンズのフロントマンといえば、バンダナや短パンでWANDSTOKIOに影響を与えた、アクセル・ローズという人。

コワモテなイメージがある一方で、フレディ・マーキュリーエルトン・ジョンに影響された繊細なピアノ曲をたくさん作っていたりもする。ガンズは作曲はメンバーみんなで共作しているというクレジットになってるけど、アクセルがひとりで作ってきたと思われる曲も多い。ただ歌うだけじゃなく、音楽面でも力関係的にもバンドのリーダー的存在。

 

このアクセル・ローズという人、音楽の才能がめっちゃあることは誰もが認めるところだけど、まあとんでもないトラブルメーカーでもある。

ライブのスタートが2時間ぐらい遅れることは日常茶飯事。気に入らないことがあると誰彼なしにケンカを売る。ドラッグやりすぎで死にかける。

 

極めつきはこの「Get In The Ring」って曲。


Guns N' Roses - Get in the Ring (the best)

なんと自分に批判的な音楽ライターとかジャーナリストの実名を出して、「文句があるならかかってこいよ」って歌ってる。

 

日本だとなかなか比較できる人はいないですが、YOSHIKI松居一代ショーケンを足して5倍ぐらいにしたみたいな感じ。

 

 

ドラマー交代(ここからが本題)

デビューアルバムでいきなりロックスターになった5人の若者。一方で周囲からの期待はめちゃめちゃでかくなってたはず。

正気を保つのは難しかったのか、ドラマーのスティーブン・アドラーがドラムを叩けないレベルでドラッグにハマってしまい、クビに。

そして 後任にはザ・カルトという中堅ハードロックバンドのマット・ソーラムという人が選ばれ、バンドは2枚めのアルバム制作にとりかかることに。

 

前置きが長くなりすぎたんだけど、実は今回、このドラマー交代のことが書きたかった。ここからが本題です。

 

旧ドラマーの スティーブン・アドラーという人は、前のめりなスタイルのドラマーで、初期ガンズのパンクっぽさや性急な感じはこの人のおかげな気がしてる。

一方、新ドラマーのマット・ソーラムは、安定感があってどっしりしたドラムを叩く人で、この2人はスタイルが結構真逆なんだけど、個人的にはどうしてもスティーブン・アドラーのほうが好み。

 

ニューアルバムは超大作に

ドラマーを交代したガンズは、1990年ごろからニューアルバムの制作にとりかかる。

メンバーのクリエイティビティが爆発しまくった結果、なんと2枚組の全30曲、トータル2時間半というボリュームでリリースされることに。

しかも前作の延長線上にあるような、疾走感あるハードロック曲をはじめ、オーケストラも入った9分弱の大作バラード、カントリーっぽい曲やヒップホップ風まで、それはそれはバラエティに富んだ内容。

当時高校生だったけど、まあ何度も何度も聴いたものだった。

 

何度も何度も聴いたけど、まあ正直スティーブン・アドラーがもたらしていた初期のパンクっぽさに未練を感じていたし、マット・ソーラムは上手だけど退屈な感じがしていた。この2枚組は7分8分の超大作が多くて、たっぷりしたドラムが似合うっちゃ似合うんだけど。

 

気づいたこと

でさらに何度も何度も聴いていると、あることに気づく。

このアルバムの全30曲のうち、かなりの曲でドラムのオカズが同じフレーズになってるってことに。

(オカズっていうのはフィルとも言うんだけど、曲の展開が変わる直前とかに、通常のリズムパターンから離れて、「タタツタッタタ」とか「ダチーチーチー」みたいなちょっとしたフレーズを叩くやつのこと)

 

たとえばこの曲。

この埋め込みプレーヤーで聴ける範囲だと後半に出てくるし、ほんとのこの曲の冒頭でもドラムが入ってくるところでも出てくる。「んタッタタドン」ってやつ。

 

あとこの曲。 

埋め込みプレーヤーで聴ける範囲の最後の方に出てくる「タットンタカトン」ってやつ。

 

よく聴くと、この2つのフレーズが全30曲のアルバムの中でやたら出てくることに気づいてしまったのだった。

 

完全に妄想で謎解き

オカズのパターンがやたら少ないことに気づいた当時は、反マット・ソーラムな気分のままに、プロのくせにフレーズのひきだしが少なすぎるとかバカにしてたもんだった。

引き算の美学とかそういうところに思い至らない若者だった(引き算の美学がわかる子はそもそもメタルなんか聴かない)。

 

そのままガンズはメンバーチェンジや訴訟やその他トラブルを抱えまくりながら失速しやがて活動しなくなり、こちらはこちらで引き算の美学がわかる大人になっていき、ガンズは聴かなくなっていった。

 

 

しかし大人になってからも、ふとしたときにマット・ソーラムのことを思い出すことがあった。

ある程度大人になって、自分で音楽をやるようになって、意見の異なる他人とものをつくるようになって、なんとなくマット・ソーラムの気持ちがわかるようになってきた気がしたことがあった。

あのアルバムのオカズがワンパターンなのは、こういうことなんじゃないかって。

 

基本的にボーカリストというのは(ドラマー以外の全メンバーはと言い換えてもいい)、ドラムのことをあまりよくわかっていない。ドラムの細かいフレーズにまで普通は口出ししない。

ただ前述したように、中心人物であるアクセル・ローズという人はかなり性格に難があるし、完璧主義者。

 性格に難がある完璧主義者は、あまりわかっていない分野にも口出ししてコントロールしたがる。

すると何が起こるか。

 

ある日のレコーディングでマット・ソーラムが考えてきたオカズが、アクセルはどうにも気に入らない。でも代替案を言えるほどドラムのことがわかってるわけではない。でも知識がないなりに相手のことをコントロールしたい気持ちになっている。

さらにいけないと思いつつ頭のなかでは前任のスティーブン・アドラーと比べてしまってることにも気づいてる。そんな自分の気持ちを隠したくてさらに意固地になる。

といったようなこじらせ方をした結果、アクセルはマット・ソーラムに理不尽なダメ出しを繰り返し、レコーディングスタジオは険悪な空気に。

そしてマット・ソーラムはなかばやけくそになって「これなら文句ないだろ」と、以前に別の曲でアクセルがいいねって言ったフレーズを叩いてみた。1曲の中で何回も。

普通そんなことしたら、バカにしてんのかってアクセルは怒るだろう。マット・ソーラムもバカではないのでそんなことはわかる。わかるけど、これがおれなりの精一杯の抗議って気持ち。

さすがのアクセルもそんなマット・ソーラムの抗議の意思を感じ取った。でもここで怒ることは大人げないのではないかとなぜか思ってしまった。とはいえ、自分が悪かったと折れるつもりもない。

その結果、ヤケクソで繰り返した同じフレーズに誰も反対せず、OKテイクとして採用されてしまった。

 

以上、完全に妄想なんだけど、もしこういった経緯があったのであれば、同じようなフレーズが頻出するのもわかる気がするなと。

 

自分自身の中にこういう意固地で頑固な面があって、そのせいで誰も得しない結末になることがちょいちょいあって。自分でさえそうなんだからアクセル・ローズなんかもっとそうだろうって。完全に妄想なんだけど。

 

2018年にマット・ソーラムの話をこんなにするとは思わなかったけど、アウトプットしないと気がすまなくなってしまったので書きました。とはいえ口頭で誰かとの会話で「そういえばマット・ソーラムってさー」なんて話せる文脈がどこに繋がってるのかがわからなくて。

なのでなんの脈絡もない状態でブログに書きました。失礼しました。